Problem 1.43. (JMO 2011 5)
問題文:
点A,B,C,D,Eは円ω上にあり、点Pは円ωの外側にある。
直線PB,直線PDはωに接しており、点P,A,Cは一直線であり、DE//ACが成り立っている。
直線BEは線分ACを二等分することを示せ。
解答:
直線BEと直線ACの交点を点Xとし、ωの中心を点Oとする。
直線PDは円ωの接線なので、∠BED=∠BDP
DE//ACより∠BXP=∠BED
よって∠BXP=∠BDPであり円周角の定理よりP,B,X,Dは共円
直線PB,直線PDは円ωの接線より∠OBP=90°,∠ODP=90°
これより∠OBP+∠ODP=180°であり、O,B,P,Dが共円であることを示す
以上よりX,O,D,Pは共円であり、∠OXP=180°-∠ODP=90°
よってOXとACは垂直であり、∠OXA=∠OXC(=90°)
これとOX=OX,OA=OC(共に円ωの半径より)から二辺夾角相等より△OXAと△OXCは合同
よってAX=CXであり、題意は示された
Lemma 1.44. (Three Tangents)
問題:
鋭角三角形ABCについて、B,CからAC,ABに下した垂線の足をそれぞれE,Fとする。
また、点Mを辺BCの中点とする。
ME,MF,Aを通りBCに平行な線は全て△AEFの外接円に接することを示せ。
解答:
CFとBEの交点を点Hとすると点Hは△ABCの垂心であるので、AHはBCと垂直
また、AHとBCの交点を点Dとし、Aを通りBCに平行な線とFMの交点を点Xとする。
∠BFC=90°,BM=MCよりMF=MCであり同様にME=MCもいえる
よって∠HFM=∠CFM=∠MCF=90°-∠FBC=90°-∠ABD=∠BAD=∠FAHであり、これよりMFは△AEFの外接円に接する
同様にMEも△AEFの外接円に接する
また、CFとABは垂直なので、∠AFC=90°
これより∠AHF=90°-∠FAH
また、XA//BCより∠XAB=∠ABC=90°-∠BAH=90°-∠FAH
よって∠XAB=∠AHFであり、これはAを通りBCに平行な線が△AEFの外接円に接することを意味する
以上より示された
Lemma 1.45. (Right Angles on Incircle Chord)
問題:
点Iを中心とする△ABCの内接円は辺BC,CA,ABにそれぞれ点D,E,Fで接している。
点Mと点Nをそれぞれ辺BC,ACの中点とする。
直線BIと直線EFの交点を点Kとしたとき、BKとCKが垂直であることと、M,N,Kは一直線であることを示せ。
解答:
∠BAC=2x,∠ABC=2y,∠ACB=2zとする。この時2x+2y+2z=180°である。
E,Fは△ABCの内接円に接するのでAF=AE,∠IEC=90°
これと∠FAE=∠BAC=2xより、∠AFE=(180°-2x)/2=y+z
Iは△ABCの内心なので、∠ABI=∠ABC/2=y,∠ACI=∠ACB/2=z
よって∠BKF=∠AFK-∠FBK=∠AFE-∠ABI=z
これより∠ACI=∠BKF
よって∠ECI=∠ACI=∠BKF=∠IKEなので、円周角の定理よりE,I,C,Kは共円
よって∠IKC=∠IEC=90°であるので∠BKC=∠IKC=90°
これよりBKとCKは垂直
BM=MC,∠BKC=90°よりBM=MK
よって∠MKB=∠MBK=yであり∠KMC=∠MKB+∠MBK=2y=∠ABC
これよりKM//AB
また、点M,Nはそれぞれ辺BC,ACの中点なので、中点連結定理よりMN//AB
よってKM//MNであり、これはM,N,Kが一直線上であることを示す。